合同会社とは? 日本版LLCの特徴
合同会社は、Limited Liability Companyの略からLLCと呼ばれることもありますが、会社法の施行に伴って設立が可能になった、新しい会社形態です。ここでは、この合同会社(LLC)の特徴や、この会社形態を選択することのメリット、そして他の会社(法人)形態との相違などを説明します。合同会社(LLC)の特徴
合同会社は、主に次のような特徴を持つ会社形態です。
- 社員の責任が有限責任
- 内部自治の自由度が高い
- 法人格を有する
合同会社は、ここ数十年かけてアメリカにおいて発展し、日本では会社法の施行後にこの法人形態が取りいれられることになりました。アメリカでのLLCという会社形態の普及スピードは凄まじいものがあり、多くの媒体で"LLC"という表記を目にする機会が増えています。もはや株式会社と並び、一般的な会社形態といえるまでに広がっています。
普及要因となった構成員課税
この爆発的な普及には、法人に対してではなく構成員に対して直接課税するという、構成員課税(パススルー方式)が貢献しているといわれます。まず法人に対して課税され、次にその法人の構成員に利益が分配された段階で、各構成員に課税されるという、二重の課税を回避できるメリットが注目されているのです。
日本では構成員課税が見送られた
残念ながら、日本においては法人税法等の関係などから、アメリカのように合同会社という会社形態に構成員課税を採用することは見送られましたが、それでも対外的には株式会社のように有限責任であり、また内部的には組合のように自治に自由度が高いという、各団体のいくつかの長所をあわせもった法人形態といえます。
合同会社(LLC)のメリット
出資者は出資の限度でしか責任を負わない"有限責任"
合同会社のメリットは、まず出資者は出資金の限度でしか責任を負わないという"有限責任"である点です。内部自治の自由度の高さという点においては、民法上の組合も合同会社と類似した組織といえます。しかし民法上の組合は、合同会社とは異なり組合員の責任が無限責任です。何か新しい事業を始めようとするとき、合同会社という会社形態を選択することで、有限責任社員のため参加者を募りやすいというメリットがあります。
内部自治の自由度が高い
合同会社は、主に定款に記載しておくことで、かなり自由な運営が可能となる会社形態です。まず株式会社と異なり、合同会社は出資者全員での運営が基本となります。株式会社ほど、厳格な資本と経営の分離を要求される ことはありませんから、機関の設置や株主総会・取締役会などの開催といった各種手続きに煩わされる心配がありません。意思決定を素早く行いたい事業などでは、機関設計に柔軟性の乏しい株式会社より、合同会社は大きなメリットを得ることができる場面が広がります。
また定款に定めておくことで、各構成員の出資金額とは異なる比率で利益の配分を行うことができるのも、合同会社の大きなメリットのひとつです。
お金ではなく人の能力を活かした経営ができる
前述のように、定款に定めることによって出資金額とは異なる比率での利益配分が行えるということは、それだけ"人の能力"を重視した経営を行えるということを意味します。

たとえば、ちょっと極端な例かもしれませんが、ホームページ制作の会社をつくろうとした場合を挙げて説明します。ホームページ制作の技術を持ったAさんと、お金を持ったBさんが、1:100の割合で出資して株式会社を設立したとしましょう。株式会社という会社形態は、出資した額に応じて利益配分がなされますから、技術を持っているとはいえAさんはBさんの1/100の利益配分 しか得ることができません。
これでは、Aさんのやる気を引き出す動機づけに乏しいですし、それ以前にAさんが共同経営者としてこの株式会社の経営に参加してくれるかさえ怪しくなってしまうことでしょう。
柔軟な利益配分
一方、これが合同会社であれば、たとえAさんがBさんの1/100しか出資していなかったとしても、利益配分を自由に決めることができるのです。Aさんはホー ムページ制作の技術を提供して、Bさんは主に金銭面とAさんの業務のサポートに回る。そのような役割分担に対して50:50の利益配分が妥当というのであれば、定款にそう定めることで出資金額とは異なる比率である50:50で配分が可能になるのです。
人の知識と情報を活かした組織づくり
このように、人の才能や技術に注目し、その技術や才能を事業に結び付ける仕組みとして、合同会社は利用しやすい事業形態といえます。大量生産と大量消費の時代は、どうしても資本を集めることに重点を置かなければなりませんでした。しかし大量生産が発展途上国など人件費の安い国にシフトしている現在、情報や付加価値で新たな商品を開発・展開するためには、機動性とともに、上記のような人の知識と情報に重点を置ける組織づくりが重要になってきています。
株式会社と比較して、設立期間が短く費用が安い
合同会社は内部自治を柔軟に行える点の他に、設立時においても、株式会社と比較して設立手続きに手間や費用がかからず、法人化して迅速に事業を開始することができるというメリットがあります。
機関設計等に時間を割かなくて済みますし、設立に必要な税金等も、株式会社と比較して低く定められています。日本においては起業率が欧米と比較して低く、ベンチャー的な事業を起こして育成していくために、より起業しやすい組織の形態が求められています。合同会社は、そのような起業を触発する政策の一端を担って設けられたという面もありますから、相対的に起業しやすい法人形式であるのは至極当然ともいえます。
有限責任事業組合と異なり、法人格を持つ
有限責任であり、また内部自治の自由度が高いという点では、合同会社は有限責任事業組合(LLP)とも共通点があります。しかも、この有限責任事業組合(LLP)という組織形態は合同会社では採用が見送られた構成員課税をとる組織形態ですから、二重課税で税金が余計にかかることもありません。万が一、事業で損失が出た場合でも、構成員の他の所得と(一定の額まで)損益相殺が可能というメリットを持っています。
構成員課税というメリットが大きい有限責任事業組合(LLP)ですが、合同会社とは大きく異なり法人格がないというデメリットがあります。合同会社は法人格がありますし、またそれ故に株式会社への組織変更が行えるというメリットもあわせ持っています。起業時においては柔軟性のある合同会社(LLC)を選択しておき、後々多くの資本を必要とし、規模の大きな事業を展開する事態が生じたときには、あらためて株式会社に組織変更して資本を得るという運営が可能なのです。
株式会社や有限責任事業組合(LLP)との違い
上でもいくつかの違いについて触れましたが、合同会社と株式会社、有限責任事業組合の主な違いについて、簡単にですが表にまとめました。
| 合同会社(LLC) | 株式会社 | 有限責任事業組合(LLP) | |
|---|---|---|---|
| 法人格 | あり | あり | なし |
| 最少構成員数 | 1人 | 1人 | 2人 |
| 最低資本金額 | 1円 | 1円 | 2円 |
| 利益配分 | 定款で定める | 出資比率で配分 | 組合契約書等で定める |
| 課税方法 | 法人課税 | 法人課税 | 構成員課税 |
| 組織変更 | 可能 | 可能 | ― |
有限会社が合同会社に変わったわけではない
会社法の施行によって、会社の形態として有限会社が外れ、合同会社が新たに追加されました。今後は有限会社を作ることはできなくなったわけですが、責任が同じ有限であるということもあってか、有限会社が合同会社に変更されたと勘違いをされている方も意外と多いようです。
有限会社的な会社の形式は、会社法施行後は株式会社という形式内において実現されることになりました。つまり、以前の有限会社的な法人を設立するのであれば、株式会社の設立を選択する(株式譲渡を制限する、非公開会社として株式会社を設立する)ことになります。合同会社は、より内部自治を重視した法人として、新たに設立が可能になった法人形態です。
ただ、以前の有限会社設立において重視されていたのは、株式会社と比較して設立が容易であったり、内部自治が幅広いといった点であることが多かったわけですから、その意味においては、合同会社が代わりになっていく面も大きいかと思います。
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